こちらの記事では、暗号資産(仮想通貨)詐欺に合わないために、実際の事例を用いて暗号試算詐欺のよくある話に関してお話ししていきます。これから暗号資産を始めようとしている方も、すでに暗号資産を持っている方にとっても有益な内容となっているので、ぜひ最後まで読んでみてください。
暗号資産はまだまだ日本では「怪しい」と思われておりますが、実際には大手メガバンクで暗号資産の開発をしていたり、世界的な企業であるGoogleやFaceBookなどでも開発がすすめられています。技術的には確実に世界に認められている分野なので、暗号資産に関する正しい知識を蓄積して実際に暗号資産を運用してみることをおすすめします。
こちらの記事の想定読者
暗号資産詐欺とはなにか?
暗号資産詐欺とは、読んで字のごとく暗号資産を用いて行われる詐欺のことを指します。
暗号資産では、ブロックチェーンと呼ばれる第三者を介さずにユーザー同士で直接取引が行われ、取引履歴が記録される技術がつかれわれています。
よりわかりやすく言うと、「全員が同じ取引履歴を確認できるから、取引履歴が改ざんされたらどっちが正解かわかるよね」という仕組みです。
このブロックチェーンという技術のおかげで、全員でブロックチェーン上にある暗号資産の取引を監視することができるので、「暗号資産の技術自体が問題で詐欺にあってしまう」ということはほとんどありません。
※全員で監視している情報のうち、51%以上の情報を書き換えてしまうと「どちらの情報が正しいのか」判断ができなくなってしまいます。これを51%攻撃と言います。理論的には可能な攻撃方法ですが、とんでもなくコストがかかる方法であることに加え、51%攻撃は取引の承認権を独占できるだけなので、取引そのものを操作できるわけではありません。そのため心配する必要は特にないでしょう。(こちらは少し深い内容なので、読み飛ばしていただいて構いません。)
ではどうして暗号資産詐欺が起きてしまうのでしょうか?
それは「楽して儲かりたい」という人間の心理をたくみに利用した詐欺が行われているからです。
それでは人間の心理を利用した詐欺にはどのような手口があるのか見ていきましょう。
人間の心理を利用した暗号資産詐欺
人間である以上、どうしても目先の利益に飛びついてしまい失敗してしまうことはありますよね。暗号資産だけに関わらず、「ダイエットしなければいけないのにお菓子を食べてしまった」とか「勉強しなければいけないのにずっとyoutubeを見てしまっている」とかが該当します。
お金に関しても同様のことが言えます。
特に暗号資産に関する知識がない方にとっては、「相手の言っていることが間違っているかどうかわからない」ので、詐欺に合ってしまう可能性が非常に高いと言えます。
※筆者自身もこの手の話は勧誘を受けてきましたが、ロクな話はなかったです。
株でもFXでも暗号資産でも簡単に手取り早く稼げる方法なんてありません!投資の神様と呼ばれるウォーレンバフェットの年間の利回りですら約20%(100万円投資したら1年後に120万円になる)と言われています。投資という領域における世界最高峰であっても年間約20%の利回りしか出すことができないのです。
これ以上の利回りの案件はほとんど100%詐欺と言っても過言ではありません。仮にそんなうまい投資案件があっても、そもそも富裕層内(1口何億レベルの案件になるはずです)で完結するので、まず降りてくることはないです。
人間心理を利用した暗号資産詐欺の手口
ここからは暗号資産を利用した詐欺手口に関してご紹介していきます。
- ICOを謳った詐欺
- 高収益プラグラム詐欺
- ねずみ講
ICOを謳った詐欺には気をつけろ!よくわからない暗号資産は買わないに限る
ICOという言葉は聞き慣れないと思いますので、まずは聞き馴染みのあるIPOについてご説明いたします。
IPOとは、「Initial Public Offering」の略で、新規公開株や新規上場株式のことを表します。つまり、証券取引所で「誰でも株式が購入できるようになる」ということです。会社というのは、基本的に上場するまでの株は誰しもが購入できるわけではありませんので、上場すると不特定多数の人が購入できるので株式価値は上昇します。
上場するまでは会社の社長は投資家に対して「うちの会社は上場するので株を買ってください(出資してください)」とお願いすることになります。
ICOはこの暗号資産バージョンです。
つまり、ICO詐欺でありがちなのは「この暗号資産は上場するので今のうちに買っておくことで将来的に高値になりますよ」という形で話を持っていくことになります。
- 絶対に上場する
- 必ず儲かる
- 元本保証
などという言葉を使って購入させようとしてくる暗号資産は詐欺である可能性が非常に高いので買わない方が良いです。
「そんなこと言っても上場する可能性もあるのではないか?」と思われる方もいると思いますが、日本の企業数と上場企業数を考えてみてください。
日本にある企業数は421万社と言われていますが、上場している企業の数はたったの3,822社です。つまり、日本にある企業のうち、0.09%しか上場していないことになります。
参考:上場会社数の推移
仮にBinanceなどの海外取引所などに上場したとしても、価値のないコイン(草コイン)から抜け出せない可能性が非常に高いです。
日本において一番多くの仮想通貨を取り扱っているのはCoincheckという仮想通貨取引所ですが、その数なんとたった17種類です。
残念ながらこれが現実です。一日中パソコンに張り付いて暗号資産を監視している人でさえ暗号資産のICOに直面するのは一握りです。お金を無駄にしないためにもICOによる一攫千金は諦めた方が無難でしょう。
高収益プログラム詐欺
高収益プログラム詐欺は、HYIP(High Yield Investment Program)とも呼ばれている詐欺です。名前の通り高利回りを謳った詐欺方法になります。
この詐欺の厄介な手口はポンジスキームと呼ばれる手法を使われていることです。ポンジスキームとは、アメリカで天才詐欺師といわれたチャールズ・ポンジの名前が由来になっている詐欺方法です。「運用益から出た利益を配当金として支払う」と投資家に伝えてお金を集め、実際には運用せずに、別の出資者からの出資金を配当金として支払い、最後には持ち逃げするという方法です。
つまり、「最初に10万円預けると、次の月に言われていた通りの利回りの配当金がもらえるため、安心して100万円などの高額な金額を預けると途端にばったりと連絡が取れなくなってしまう」イメージです。
そもそもそんなに高い利回りのサービスがあったら日本政府や銀行などが財政維持のために使って、国民の税金なんて徴収しなくても良くなりますよね。
こちらの詐欺に関しては、特に投資初心者の方が非常にひっかかってしまいやすい詐欺なのでご注意ください。
ねずみ講による被害
コミュニティを創設し、入会希望者から入会金をもらって代わりに暗号資産を与える。もしくは、コミュニティ内サービスで利用している暗号資産を購入させる等の手口となります。
基本的に暗号資産は購入者が増えれば増えるほど(需要が増える)ということになるので、価格が上がることになります。価格が上がるとさらに当然購入者も増えるわけですから、詐欺師にとっては絶好の売り機会を作ってしまうことになります。
特に「一度購入したら〇〇年は売却・引き下ろすことできない」という制限がある場合は、詐欺の可能性が高いのでやめた方が良いです。ビットコインやイーサリアムなどのコインが上場している理由には「価値交換ができる」ということが当てはまりますが、こういったコミュニティ内限定のコインの場合には「そのコインを利用する決定的な理由」がありませんので、よっぽど作り込まれたものでなければ価値が上がることもありません。
暗号資産詐欺の本当にあった怖い話
ここからは実際にあった暗号資産を利用した詐欺の事例についてご紹介していきます。
実際にあった暗号資産詐欺の事例1:Seeleコイン
Seeleコイン自体は詐欺コインではありませんが、Seeleの公式テレグラムチャンネルで、なりすましの管理者がメンバーにICOが一般公開される前のプレセールの一環という名目でイーサリアムを騙しとりました。
この事件は、「管理者権限を付与できるのは管理者しかいない」ので、内部的な犯行なのではないかとも言われていますが、真偽のほどは明らかにはなっておりません。
実際にあった暗号資産詐欺の事例2:Recoin
Recoinは、不動産投資ICOとして注目された暗号資産です。不動産を担保にした新しいICOを提案したことによって、広く認知されるようになりましたが、米証券取引委員会により詐欺及び違法証券発行の罪で立件されました。
というのも、「内部には弁護士や不動産の専門家が関わっている」という情報公開していたり、4億円の資金調達が完了していると公開されていたものの、実際には3,000万円しか集まっていなかったりなどの虚偽の情報を投資家に向けて発信していました。
実際に投資家側から公開されていたデータが本物であるかどうかの確認をとれるわけでもないので、初めから投資家を騙そうとしていたとしか考えられません。
実際にあった暗号資産詐欺の事例3:クローバーコイン
クローバーコインは、48ホールディングスという会社が発行した暗号資産です。コミュニティに新しい人を勧誘すると報酬としてクローバーコインが配当されるという仕組みになっていました。ちなみに、1口35,640円でプレリリースしていました。
日本にビットコインを持ち込んだ、中田義弘がプロデュースという形で営業されておりましたが、筆者が暗号資産業界にいた頃でさえ聞いたこともない名前ですね…。セミナーなどを行って宣伝を行なっていたようですが、消費者庁と国税庁の両方から強制捜査を受け、最終的には48ホールディングスのクローバーコイン購入用の口座は凍結されました。
実際にあった暗号資産詐欺の事例4:ノアコイン
ノアコインは、フィリピンの経済成長の支援と社会問題の解決を目的とした暗号資産です。ノアコインは2017年に日本とフィリピンのみでICOを開始し、ICOで40億円以上資金調達をしたと言われています。
当初このノアコインはフィリピン政府の国家プロジェクトであると謳われて販売促進されていましたが、実際にはフィリピン政府は全くノアコインには関与していないということが明らかになりました。
これにより、フィリピン政府から警告を受けたノア財団は希望者に対して返金対応を行うことになりました。現在もノアコインは販売が続けられていますが、日本の取引所での取扱いはなくなりました。また、今後も取扱いが再度始まるとは考えにくいです。
暗号資産詐欺に引っかからないために
ここまでは暗号資産詐欺に関してご説明してきましたが、暗号資産自体が危ないというわけではありません。正しい知識を身につけることで、暗号資産は適切な投資対象となります。
暗号資産詐欺にひっかかってしまわないためには以下の3点に注意することが大切です。
- 日本で取り扱いがない暗号資産はできるだけ避ける
- 明らかに高配当な案件には注意する
- 信頼できる暗号資産取引所を利用する
日本で取り扱いがない暗号資産はできるだけ避ける
日本の暗号資産取引所にICO(上場)するためには、一定以上の基準をクリアする必要がありますが、一方で海外ではお金を払えば上場することができる取引所はたくさんあります。
そのため、暗号資産に関する知識がないうちから海外取引所で一攫千金を狙うべきではありません。「ブロックチェーンとは」「ホットウォレットとコールドウォレットの違いとは」などの暗号資産を取引している人なら知っているべき知識を習得してから海外取引所を利用することをおすすめいたします。
明らかに高配当な案件には注意する
こちらの記事の冒頭でご説明したように、明らかに「うますぎる話」はほとんど100%が詐欺です。そんなにうまくいっていたら世の中には金持ちがはびこりすぎて圧倒的に目立つようになるはずです。
特に近年は情報社会なので、youtubeなどで顔を出して動画をあげるはずですよね。にもかかわらず、TwitterやInstagramなどで高級車のプロフィール画像や日々の謎の利益の報告だけをあげるはずがありません。「実際に稼げる人が出ました」なんていう投稿も「管理者とつながりのある人物だから当然だろう」と思っておけば良いです。
信頼できる暗号資産取引所を利用する
暗号資産を購入されたい方は、信頼できる日本の取引所をご利用することをおすすめいたします。日本の金融庁お墨付きの暗号資産取引所を利用するようにしましょう。
特に暗号資産業界は、新しい業界でもあり投資額も大きい金融系の企業であるため、金融庁も目を光らせてみている業界なので、金融庁の認可をしっかりと受けている暗号資産取引所であれば安全です。
暗号資産の初心者の方はまずは日本の暗号資産取引所を使って暗号資産を売買すると良いでしょう。
まとめ
この記事のまとめ
こちらの記事では、暗号資産にあわないためにしっておくべきことをご紹介いたしました。自分が被害者になってしまわないために、「暗号資産の詐欺にはどのような手口があるのか」ご理解いただけたかと思います。
安全に資産運用をするためにも、必ずこちらの記事に書いてある詐欺の手口については頭にいれておくと良いでしょう。