こちらの記事では、暗号資産の将来に関してビジネス的観点で解説していきます。日本ではまだ利益を得るための側面でのみ暗号資産が語られる傾向がありますが、世界では暗号資産はビジネス的な視点でも大きな貢献をすることが予想されています。
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ビジネスにおける暗号資産の将来
暗号資産はすでにビジネスとしても役立つと考えられており、多くの有名企業が暗号資産の開発や暗号資産を利用したビジネスに乗り出しています。
こちらの記事では、実際に暗号資産を利用したビジネスの事例とともに暗号資産の将来について解説していきます。
国際送金を便利にするXRP
XRPとは、国際送金に特化した暗号資産です。皆さんもご存知の通り、国際送金をするためには多額の手数料を銀行で取られてしまうため、仮に海外へ送金することがあったとしても銀行窓口での送金を避け、送金相手の日本の銀行口座に振り込みを行い、相手方にはデビットカードを用いてお金を引き出してもらうという方法が一般的ではないかと思います。
デビットカードを利用すれば海外でお金を引き出すことができるので、私たち日本人にとっては国際送金が便利になるという側面ではそこまでメリットを感じないのではないでしょうか。
ここで銀行口座開設に関して考えてみましょう。
私たち日本人は、オンラインでも銀行窓口でも簡単に銀行口座を開設することができます。当たり前のように感じられるかもしれませんが、このように簡単に銀行口座が開設できるのは世界から見ると非常に珍しいです。一方で、暗号資産のウォレット(送金もできるお財布。LINEPayみたいなものだと思っていただけると良いかと思います。)であれば誰でも持つことができます。
新興国では、銀行口座の保有率は50%以下の国も多く、アフリカでは20%にも満たない国が多くあります。つまり、彼らは銀行を持っていないために国際送金をする手段が限られてしまうのです。また、新興国の人々は自国では稼ぐことが難しいため、海外に出稼ぎすることが多いです。
例えば、フィリピンという国ではコロナ前の2019年には216万人もの人々が海外に出稼ぎに出ていました。
※2020年はコロナの影響が大きく、54万9,841人と数を減らしています。
参考資料:20年の海外出稼ぎ労働者、30年ぶり低水準
また、フィリピンの2021年の海外送金金額は349億ドル(約4兆円)に登ると言われています。そんな中、日本のようにデビットカードで簡単にお金を引き出すことができないフィリピン人にとっては多額の送金手数料を支払わなければなりません。
参考資料:フィリピン、21年の送金過去最高 国内経済下支え
ちなみに筆者は計4年ほどフィリピンに滞在しておりましたが、当時(2019年)フィリピンの月給は1万ペソ(2万円ちょいくらい)でした。仮に送金手数料が1万円だと仮定すると、彼らの月給の半分近くが送金手数料として徴収されてしまいます。
では、XRPで送金する場合はどのくらいの送金手数料がかかるのでしょうか。
XRPを発行しているリップル社の情報によると、1回の送金あたり送金にかかるコストは0.0004ドル(約0.05円)です。下手したら数万円〜数十万円かかる送金手数料がここまで格安になるのであれば送金対象者としては非常に喜ばしいことです。
XRPを利用することによるデメリットは?
XRPを利用することによって送金手数料が格段に安くなることはご理解いただけたと思います。ただ、XRPは中央集権的な通貨であり、リップル社という会社がXRPを管理しています。
中央集権的に管理されることによってどのような問題が発生するのでしょうか。
- 大幅な価値の下落リスク
- 価値がゼロに限りなく近くなる可能性が全くないとは言えない
中央集権的に管理されることによるリスクは大きく分けると上記の2点に分けられます。
日本円やアメリカドルの場合は通貨の価値が国に紐づいているので基本的に大幅な下落が発生することは考えにくいです。
※突然通貨価値が下落してしまうと、第二次世界大戦後のドイツのようなハイパーインフレを起こしてしまうので、そのようなことは起きないように調整されています。
一方で、XRPの価値はリップル社に依存してしまいます。リップル社は現在アメリカ証券取引所(SEC)に訴訟されています。この訴訟が公になったタイミングでXRPの価値は暴落しました。
このようにリップル社にかかわるニュース1つで大きく通貨価値が下がってしまうのは、XRPを取り扱う上での大きなリスクとなってしまいます。
また、リップル社は数々の大手銀行と提携を結んでいますが、リップル社が倒産してしまいXRPの価値が限りなくゼロに近くなる可能性は全くないとは言い切れません。
XRPの購入を考えている方は、このようなリスクは承知の上で購入されるのが良いと思います。
XRPの対抗馬であるステラルーメン(XLM)
ここまでXRPについてご説明いたしましたが、似たような特徴を持つ通貨にステラルーメン(XLM)という暗号資産があります。
こちらの通貨もXRPと同様に中央集権的に管理されており、送金手数料が非常に安いことが特徴として挙げられます。しかし、XRPと大きく違うところは、非営利団体のステラ財団によって管理されていることです。
通常、企業は維持するために当然利益を追求することを目的としています。一方で、非営利団体は利益を追求することはありません。つまり、リップル社に比べると、非営利団体が管理している分、企業問題における価値の暴落のリスクはXRPに比べると低いと言えます。
※もちろん、非営利団体といえどリスクはゼロではありません。
ちなみに筆者も上記に記載したリップル社への訴訟によって大損害を被ったので、現在は保有していたXRPを全てXRPをステラルーメン(XLM)に切り替えました。
この章のまとめ
新たな時代の礎となる可能性となるイーサリアム(ETH)
イーサリアムは最近話題になっているので知っている方も多いのではないでしょうか。イーサリアムとはプラットフォームの名称で、そのプラットフォームで利用される通貨をETHと呼びます。イーサリアムを利用したビジネスとして注目されているのは以下の2つです。
- 金融の世界を変える可能性があるDeFi
- 面白い世の中の礎となる可能性があるNFT
特に最近注目の的となっているのはNFTなので、こちらの記事においてもNFTを多めに取扱ます。それでは詳しくご説明していきます。
金融の世界を変える?DeFiとは?
DeFiとは、Decentralized Financeの略語で、日本語では分散型金融のことを指します。分散型金融とは、中央管理者のいない金融仲介アプリケーションのことです。
一般的に、私たちが暗号資産を購入する際は中央管理者であるCoincheckやbitbankなどの取引所や販売所を介して購入しますよね。DeFiのブロックチェーン技術を利用することによって、これらの取引所や販売所などを通さずに暗号資産を取引することができます。
分散型金融の場合は、管理者を挟まず当事者同士の直接取引となり、仲介手数料がとられないため、取引における手数料は安くなります。
また、取引所や販売所を介して取引を行う場合は、取引所や販売所において口座開設が必須となりますが、分散型金融の場合は口座開設手続きも必要ありません。現在では、取引所や販売所で口座開設するためには本人確認書類の提出などが義務づけられていますが、分散型金融を利用する場合はそのような書類の提出も不要となるため、良くも悪くも誰でも簡単に取引を開始することができます。
ここまで聞くと、分散型金融の方がメリットが大きいように感じますが、もちろんデメリットもあります。
一番大きなデメリットは、分散型金融は中央管理者がいないため、何かしらのトラブルが起こっても対応してくれる人が誰もいないということが挙げられます。
金融の中央管理者を担っている銀行を例に挙げるとわかりやすいと思いますが、例えばあなたがAさんに送金するところを間違ってBさんに送金してしまったと仮定します。その際に銀行に連絡をすればその取引を取り消してくれることができますよね。
一方で、分散型金融の場合は中央管理者がいないので、もしあなたが間違った人に送金してしまっても、間違って送金してしまったお金を取り返す手段がなくなってしまいます。
そのため、暗号資産初心者の方には少しハードルが高いので、あまりおすすめすることはできません。
面白い世の中の礎となる?NFTとは?
NFTとは、Non-Fungible Tokenの略語で、非代替性トークンのことを指します。非代替性トークンを利用することによって、あるものが「唯一無二であること」を証明することができます。
では、「唯一無二であること」を証明することにどのような価値があるのでしょうか。
わかりやすいようにブランド品を例に挙げます。例えば、あなたがデパートでGUCCIの財布を買ったとします。デパートで購入したからといって、その財布が本物のGUCCIの財布であると証明することはできないはずです。実際問題ありえませんが、もし仮にデパートで販売されているGUCCIの商品が全て偽物だった場合はそれに気づかずに過ごすことになります。
NFTを利用することによって、あなたが買ったGUCCIの財布に「唯一無二であること」の証明が付与されるため、確実にGUCCIが製造した商品であることを証明できるようになります。
ブランドという身近な例を取り上げましたが、もっと「本物であるかどうか」が重要な商品の場合、NFTはより価値を発揮するようになります。
例えば、贋作などが蔓延っている絵画ではどうでしょうか。通常は鑑定士のような人しか本物であるか見分けることができませんが、NFTを用いることによって誰もがその絵画が本物であることがわかるようになります。
IT化の普及による弊害とNFTによる解決
デジタルが普及することによって、誰もが同じ金額で商品を購入することができるようになりましたが、本来希少性の高いものには高い価格が付けられるはずです。
一時期ニンテンドースイッチが非常に人気になり、家電量販店やゲーム販売店に行ってもスイッチを手に入れることができないという状況がありましたよね。
そのせいで、転売ヤーと呼ばれる「正規の値段で仕入れて高値で売る人たち」によってスイッチの値段が釣り上げられました。通常の考え方であれば、「品切れになるほどの良い商品」を作ったニンテンドーに利益が入るべきだとは思いませんか。
NFTを利用することによって、実はこのような問題も解決することができます。NFTの使い方の1つとして、ロイヤリティを設定することもできます。
※販売時の利益の〇〇%を徴収するみたいなイメージです。
例えば、3万円で販売したスイッチに対して15%のロイヤリティを設定していた場合、仮に1人目の転売ヤーが4万円で転売した場合はニンテンドーに6,000円が入り、2人目の転売ヤーが5万円で転売した場合は7,500円の利益がニンテンドーに入る仕組みになります。
このNFTの機能によって、ゲームだけでなくトレーディングカードやアニメの限定イラストなどもしっかりと作者(製作者)にお金が入る健全な世の中を作ることができるのです。
NFTを使えば別のゲームを登場させられる!?
最近では、NFTはゲームの分野でも話題になっています。NFTゲームでは、やっているゲームのキャラクターを別のゲームでも登場させることができたりします。
同じゲームをずっとやってると当然飽きてしまいますよね。せっかくここまで育てたり、課金して手に入れたキャラクターがいる場合はそのゲームを辞めることがもったいなく感じてしまいますよね。
しかし、NFTゲームの場合はそのキャラクターを別のゲームにも登場させることができるので、苦労して手に入れたキャラクターを使い回すことができるのです。例えば、鉄拳の世界にマリオを登場させることができるみたいなイメージです。
ゲームがお好きな方からしたら、自分の好きなキャラクターがそのゲームの枠を超えて別のゲームで一緒に使えるなんて夢のような話ですよね。
NFTは「こんなことができたら面白いな」ということの体現に寄与する素晴らしい技術なのです。
NFTに関してさらに詳しく知りたいという方は、ぜひ以下の記事も参考にしてみてください。
参考:NFTとは?現在話題沸騰中のNFTを徹底解説!
この章のまとめ
第二の金として有力視されているビットコイン(BTC)
ビットコイン(BTC)は、XRPやETHに比べるとビジネス的な側面において注力して説明することは特にありませんが、暗号資産といえばビットコインのイメージが強いためこちらの記事でも簡単に取り上げます。
ではなぜ価値があると考えられているのかというと、第二の金として有力視されているからです。資源には当然限りがありますので、金の限界産出量は決まっています。ビットコインも同様に発行枚数が決まっており、希少性が高いため価値がついています。
※大半の暗号資産も同様に発行枚数が決まっているので、価値がつく理由の1つにこちらが当てはまります。
余談:ビットコインは法定通貨の代わりになるか
こちらは余談ですが、一時期ビットコインが将来的には法定通貨の代わりになるのではないかという話がありました。
そこまで持ち上げられているビットコインですが、正直法定通貨の代替通貨になる可能性は限りなくゼロに近いのではないかと考えられます。
私たちの暮らしている社会では基本的にデフレとインフレを繰り返しており、その度に政府管轄の銀行(日本で言えば中央銀行)が流通させるお金の量を調整させています。
ビットコインの特徴として、「ブロックの生成スピードが決まっている」「発行上限がある」が挙げられます。つまり、「デフレになったからお金の流通量を増やそう」といった施策や「インフレになったからお金の流通量を減らそう」といったコントロールが柔軟にできなくなってしまいます。こういった理由によって、ビットコインが法定通貨に置き換わることは非常に考えにくいと考えられています。
以下の書籍では、ビットコインを始めとする経済の根幹が非常にわかりやすく記載されているので、金融に関心がある方は読んでおくことをおすすめします。
まとめ
今回はビジネスという側面から暗号資産の将来についてお話しいたしました。
暗号資産と聞くとどうしても投資的な意味合いでのみ語られることが多いですが、実際にはこのようにビジネス的な側面でも様々な活用が期待されています。「暗号資産という名前は聞いたことがあるけど、実際にそれがなんの役に立つの?」という方は、こちらの記事を読むことで具体的にどのような価値を暗号資産が提供してくれるのかご理解いただけたと思います。
暗号資産が当然のようにビジネスの世界で取引されるようになる時代もそう遠くないかもしれません。